息子が停留精巣であったため、専門外ではありますが、up to date (医療者向けの最新の医療情報が載っているサイト(有料))で調べてみました。
停留精巣の定義
生後4か月までに精巣が陰嚢に自然に下降せず、陰嚢内に精巣がない状態
まれに精巣自体が存在しない場合もある。
原因ははっきりとはわかっていない。
疫学と危険因子
満期産児の2〜5%と未熟児の約30%が停留精巣で生まれる。
そのうちのほとんど(約70%)の停留精巣は自発的に下降するため、1歳までに有病率は約1%になる。
臨床的特徴
生後4か月までに下降しなかった場合、下降する可能性は低く、一般に陰嚢への外科的操作と陰嚢への付着が必要。
乳児期に完全に下降した精巣の中には、小児期の後半(通常は4歳から8歳の間)に停留精巣に上昇し、外科的管理が必要になるものがある。
停留精巣放置による合併症
鼠経ヘルニア
精巣捻転
精巣腫瘍
妊孕性の低下(精子の質が悪く、精子数自体も少なくなってしまう)
手術のタイミングは4カ月以降で2歳まで、理想は1歳までに行えばよい。
早く行った方がその後の精巣の発育がよい
以上がup to date での情報である。
日本では、停留精巣の手術を小学生になるまでに行っていたという過去がある。
しかし、日本の文献でも、手術は早い時期に行ったほうがいいというデータがあり、早めに手術をするようになってきている。
ただ、私の息子にも当てはまったのだが、担当の先生の考えがそもそも手術は小学生くらいまでにぼちぼち行えればいいというスタンスで、全然急ぐ気配はなかった。
早くして欲しい旨を全力でするしかないですよね笑
また、今回停留精巣を調べるにあたって、学んだこともある。
女性との違い
婦人科の考えでは、卵巣がひとつでも残っていれば、妊孕性は保たれていると説明します。
生まれたときは卵子を約200万個蓄えていますが、自然にどんどん減っていきます。そのうえ排卵で毎月1個ずつ左右交互に卵子が減っていきます。(自然になくなっていくのは1日30~40個のペースらしい)
さらに、卵子は生まれてから新たに作られることはありませんし、卵子の数=妊娠しやすいではありません。それよりも卵子の質の方が重要になってくるんですね。
そのため、手術で片側を摘出して卵子の数が半分になったとしても妊孕性は変わりません。
手術で片側を摘出したとしても片側が残っていれば問題なく妊娠します。
しかし、精巣の場合は話が違います。精子は毎日作られます。
そのため、停留精巣を手術せずに置いておくと、明らかに妊孕性が下がるとのことです。
これは、妊娠率を高めるためには、より元気で濃い精液が膣内に入る必要があるのですが、片側では、それが難しいということですね。
だから早めに停留精巣の手術をして、精巣の発育を促すことが大事になってきます。
そのため、2歳までには手術しましょうとのことですね。
角谷秀典 片側性停留睾丸の造精機能 日泌尿会誌82巻, 5号, 1991年: 744~749
追記(これら上記を調べて改めての考え)
主治医の小児外科の先生は手術を急がなくてもいいと言われたが、無責任すぎる発言ではないのか?
停留精巣の子供に対し、主治医が急ぐ気持ちがなかったがために、手術が遅れてもし30年後に不妊症で悩んだ場合・・・
責任は取れるのか?(明確に手術が遅れたせいで、男性不妊になったというの証明はできないが。)
まぁ今の小児外科の先生が50歳として30年後はもう引退していると思いますが・・・
そういうところも踏まえて親がしっかりしないといけないのでしょうか。
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