産婦人科医のつぶやき

産婦人科医ではあるけれど・・・

産婦人科の道に進み、産婦人科専門医にはなり、さらに大学院で研究の道へ進んだものの色々悩み事はつきません。

医療の日進月歩について

一昔前は、感染症によって亡くなる人が多く、そのため、抗菌薬の開発が重視されさまざな抗菌薬が製薬会社から発売された。しかし、新しい抗菌薬が出たとしても耐性菌が出現することによりいたちごっこのような形になってしまっている。医療の進歩により人間の死因は感染症からがんに変化した。そのため、抗癌剤などのがんに対する治療薬の開発に製薬会社はシフトしてきている。そんななか、私は大学院で卵巣癌の新規抗体薬の開発へ向けた研究に携わらせていただいた。
研究ではいろいろあったが、最終的に私には向いていなかった。研究に打ち込める環境で研究させていただけたことに関しては感謝である。

医者を目指すにあたってほとんどの人が考えるのが、人を治したい、救いたいであると思う。私もそんな一人であった。産婦人科に進み、産科と婦人科を研修をし、産婦人科専門医も取得した。

その中で、産婦人科とは少しズレるが、重要である緩和ケアと、医療倫理のことに興味を持った。

緩和ケアについて

「緩和ケア」は、がんと診断されたときから行う、身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアのことで、がんに限らず慢性疾患でもこういったケアが大事と言われている。婦人科で末期がんの患者さんを診るにあたり、本人や家族は死に対するイメージができておらず上手に死ぬということを考えていないように思う。病気を診るだけでなく、そのようなところまでフォローをして病人を診れるようになりたいと感じた。

おすすめの本として、

・患者から早く死なせてほしいと言われたらどうしますか? 本当に聞きたかった緩和ケアの講義 金原出版 新城拓也

・痛くない死に方 長尾和弘

・がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方

は、一読をお勧めします。

倫理問題に関して

産科領域も医療の進歩はすさまじく、出生前検査に関わる倫理の問題がたびたび問題となっています(表社会ではあまりニュースになりませんが・・・)NIPTが話題になり、認可施設やら非認可施設やら、どこで検査するとか、NIPT陽性で中絶するのかなど。この問題は簡単には語れません。

とにかく現状を知るために本を読むしかありません。

・生殖医療はヒトを幸せにするのか〜生命倫理から考える〜 小林 亜津子

・選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子  河合香織 

・映画:ガタカ(1997年) 
(舞台は、そう遠くない未来。出生直後に、寿命、将来に患う疾患が判明し、”適正者””不適正者”に分別される社会。)古い映画になるのですが、この映画の世界では出生前診断で運命が決まってしまいます。1997年の時点でアメリカでは、このような世界を想像しています。それが現実に近づいてきていますが、倫理の部分ではどうでしょうか。なかなか難しい問題が山積みです。

この倫理に関する問題は法改正を含め本当になかなか進みません。いろいろな人がいろいろな解釈をすると思うのですが、いろんなことが言われすぎていて結局なにも変わっていないという印象です。医療は進歩していきますが・・・
胎児治療に関しても、医療は進歩していています。出生後に治療するよりも胎内にいる間に治療した方が生存率がいい疾患に対して、手術を行うことが絶対に正しいのかなど、
最終的に答えはまったく出ていない。
そんな感じのこの二つの分野に興味を持っている今日この頃になります。